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おじいさんとおばあさん (1)

おじいさんとおばあさん
(1)

昔々あるところに
おじいさんとおばあさんがいました。

おじいさんは山へ芝刈りに
おばあさんは川へ洗濯に行きました。

おばあさんが洗濯をしていると
大きな桃が流れてきました。

どんぶらこ、どんぶらこ。

あまりにも大きな桃だったので、
おばあさんはあっけにとられて
そのまま眺めていました。

どんぶらこ、どんぶらこ。

大きな桃はそのまま流れていきました。

どんぶらこ、どんぶらこ。

しばらくすると、川上から、こんどは普通の大きさの桃がたくさん流れてきました。
とんぷらこ、とんぷらこ。
とんぷらこ、とんぷらこ。

殆どの桃は、川の真ん中あたりを流れています。
足をとられて溺れてはいけないので、おばあさんは無理をしませんでした。

それでも、川岸あたりを流れてきた桃をいくつか拾えました。
なるべくきれいそうなやつを選びます。
選択を終えたおばあさんは、洗濯もそこそこに、家に帰りました。

そのころおじいさんは、
芝刈りを終えて、薪を背負って本を読みながら帰路についていました。

家では、拾った桃を前にして、おばあさんが考え事をしています。
この桃をどうするべきでしょう。

おじいさんと相談することにしましょう。

夕方ごろにおじいさんは家に帰ってきました。
家族会議です。
桃をどうしましょうか。

三日三晩考えた末に、食べてみようと思ったのですが、
ずっと置きっぱなしになっていた桃は。発酵し始めていました。

こうなってしまっては仕方がないので、カブトムシを捕獲する仕掛けに利用することになりました。

おじいさんとおばあさんは、
いつもの山で、夕方ごろに仕掛けを据えると
深夜にカブトムシの捕獲に向かいました。

狙いどおりにわんさか捕獲できたカブトムシを
お金持ちの人たちに売り払って、
おじいさんとおばあさんは楽しく暮らしましたとさ。

めでたしめでたし。